昭和53年07月04日 衆議院 決算委員会

[076]
日本社会党(社会民主党) 馬場猪太郎
大臣から御指示のありました有事におけるというその有事という解釈ですね、一般論としてで結構ですが、どういうふうな解釈がおありになるのか。

[077]
説明員(防衛庁防衛局長) 伊藤圭一
この有事というのは、必ずしもはっきり定義というものは定まっていないと考えておりますけれども、私どもは一応日本に対する武力攻撃があるということ、あるいはあるおそれのあるということ、すなわち76条によりまして防衛出動が下令されるというような状況を有事と考えているわけでございます。

[078]
日本社会党(社会民主党) 馬場猪太郎
たとえば、竹島のように占拠をされた、そして占拠をされたについては現在は外交的な方法で交渉しておる、しかしいつまでたっても外交交渉がらちが明かずに占拠され続けておったような場合はどういうようになるのですか。有事になるのですか、ならないのですか。

[079]
説明員(防衛庁防衛局長) 伊藤圭一
自衛権の行使につきましては、先生も御承知のように3つの要件というのがございます。これは、急迫不正の侵害があったという場合、それから他に全く手段がないという場合、必要最小限の自衛力を行使するという3つの要件がございますが、竹島の問題につきましては御承知のようにせっかく外交努力が続けられているわけでございますから、他に手段がないという場合とは私どもは考えていないわけでございまして、この3要件からいたしますと、外交努力が続けられている限りは他の手段で解決を図っているというふうに考えているわけでございます。

[080]
日本社会党(社会民主党) 馬場猪太郎
もしそういう外交手段が行き詰まって、いつまでたっても交渉が進展しない場合には有事と解釈されるわけですか。

[081]
説明員(防衛庁防衛局長) 伊藤圭一
これは私どもも事務的な立場からいたしますと、外交交渉が続けられている間は当然他の手段によって行われているというふうに判断をすべきことだろうと思います。したがいまして、私どもといたしましては、外交交渉がある限りは自衛権の行使の要件には当たらないというふうに考えておるわけでございます。

[082]
日本社会党(社会民主党) 馬場猪太郎
自衛隊としてはそうだと思うのですが、それじゃ外交交渉がどうしてもうまくいかない、これは仮定のことですが、そういった場合には、どこでどういう判断をなさるということになるのでしょう。これはひとつ大臣にお答えいただきたいと思います。

[083]
防衛庁長官 金丸信
まあ外交問題で、外務省がこの問題について接触をいたしておるわけでありまして、なくなったらどうする、仮定の問題についてはお答えできません。

[084]
日本社会党(社会民主党) 馬場猪太郎
仮定と言われるけれども、現実には占拠をされておって、外交交渉が全然進展しておらないわけですね。ですから、いつかは決着をつけなければならないときがあるんじゃないかと思うのですが、これはどこでどういう判断をなさるのですか。

[085]
防衛庁長官 金丸信
わが国は、あくまでも国を守るということであります。竹島も国の領土であります。当然守らなくちゃならないけれども、実際上はあそこへ韓国から、2、3の人が上陸しているという話も聞きます。

しかし、ただいまは外交交渉でこれを進めており、この外交交渉があくまでもお互い両国間で妥結することを私はこいねがっておる一人であります。