昭和34年08月01日 参議院 内閣委員会

[211]
無所属 辻政信
では対島に上ってきたら侵略と認めますか。

[212]
防衛庁長官 赤城宗徳
もちろん侵略と認めます。

[213]
無所属 辻政信
竹島を取られたことを侵略と認めるか。

[214]
防衛庁長官 赤城宗徳
竹島に人は向うの韓国の者が来ておるということは聞いております。それを占領したということに相なっておるかどうか、これもよく検討しなければ結論は出せんだろうと思います。

[215]
無所属 辻政信
冗談じゃないですよ。私は昭和28年の9月に李ラインと竹島をこの目で見てきた。日本のはっきりした領土の上に、李承晩の旗が立っている。その後約1カ月ならずして、大砲を備えつけているのですよ。そうして漁船が近づくと撃つ。これが侵略でないとか、まだわかっておらぬとかいうことは、非常にこれは工合が悪いですよ。いかがでありますか。

対馬を取られたら侵略だと、竹島は現に取られている。これは侵略とお認めになるかならぬか。

[216]
防衛庁長官 赤城宗徳
国際的な問題にもなりますので、この点につきましては、これに対してどういう措置をとるか、たとえば国際司法裁判所に提訴するか、そういう点も一応の検討の問題だと思うのです。検討いたしたいと思います。

[217]
無所属 辻政信
そんなことを聞いているのじゃない。対馬へ上ったら侵略だとはっきり言っているから、それじや竹島を取られたって現実は同じじゃないか、日本の領土で……。

その侵略か侵略じゃないかということを承わりたい。

[218]
防衛庁長官 赤城宗徳
実情私もよく承知しておりませんが、今のようなお話しであるとすれば、一つの侵略行為だとは思います。

[219]
無所属 辻政信
それじゃ海上保安庁長官、あなたは警備隊から報告を受けて知っているでしょう。今どうなっておりますか。

[220]
説明員(海上保安庁長官) 林坦
竹島の状況につきましては、海上保安庁では定時的に巡視をいたしておりますが、今竹島上に灯台が立っております。それから武器を持った韓国の兵隊であるか、あるいは警備船の乗組員であるかわかりませんものが、そういうものが数名いるようでございます。

[221]
無所属 辻政信
今ごらんになった通りの状況です。灯台は日本の灯台じゃない。李承晩が作った。大砲は李承晩の大砲であります。文官か軍人かわからぬが、とにかく人間が武器を持っている。これほどはっきりした事実を侵略と認めない、研究の余地がありますか。

[222]
防衛庁長官 赤城宗徳
事実をなお、さらにはっきり調べなければ、侵略であるかどうかということは言えませんが、今の辻委員のようなお話しであると、私は侵略であると思います。しかし、それに対処する方法はどうするかということにつきましては、これは国際的な問題もありますから検討したい、こう考えております。

[223]
無所属 辻政信
私の証言じゃ納得できんから、海上保安庁の長官に答弁を求めている。事実はこの通り間違いないのです。侵略されている。

そこで防衛庁は直接侵略、間接侵略に対しては守ると言いながら、国民から1360億円という金を巻き上げている。竹島問題一つ解決できない。李ラインにおける漁師が保護できない。そうしてあえて国防省という看板をかけようとする。そこに国民に対して納得のいかんものがあるということを私は言っている。

なぜ奪われた領土を取り返そうとされないのか。あるいはそれは国際紛争であるから、憲法第9条で力を行使することを禁ぜられているというふうに逃げるかもしれない。憲法第9条は自衛権を認めていると言っている。自衛権ということは、自衛隊とその行動であります。自衛行動を認めないならば、自衛権を認めないことになる。

そうすればこのようにはっきりした事実に対して対処できないというので、国民にどのつらを下げて、防衛予算を増加せよと言うことができますか。ただの金を使っているのじゃない。国民を守るという決意があり行動があってはじめて税金を出している。あの九州の漁民のお気持をお考えにならないか、いかがでありますか。

[224]
防衛庁長官 赤城宗徳
九州の漁民の気持もその他もよく考えています。考えていますが、問題は国際紛争というようなことで、より以上の拡大した問題に持っていくかいかないかというような、こういうこともよく考えなければ、これはいけないと思います。そういう点から、なおその処理方法については検討を加えたいということであります。

たとえば一人の人が殺されたからといって、それで自衛隊が発動して、戦争行為みたいなことをやるかやらないかということは、これは考えなくちゃならない問題だと思います。そういう点は政治家としての辻委員もよく御承知であろうと思います。そういう点は、なお対処方法について考えなければならぬと思います。