昭和28年09月17日 衆議院 外務委員会

[236]
日本社会党(社会民主党) 戸叶里子
そこで私、次にもう一点伺いたいのは、実は先ごろからの委員会で、ずっといろいろな方の自衛権の問題に関する論議を聞いておりますと、何だかだんだん考えれば考えるほどわからなくなって来たのです。それはたとえば下田条約局長だったと思いますが、いつかの委員会でおっしゃったのは、外国から侵略を受けた場合に、これはだれでも正当防衛という形でこれに対抗する権利がある、こうおっしゃったように思いますが、そう認めてもよいわけですか。

[237]
説明員(外務事務官(条約局長)) 下田武三
国際法上では正当防衛と自衛権と同じ意味で使っておりますが、国際法上ただちに自衛権を行使し得るのではなくて、いろいろ条件があります。

つまり与えられた危害が急迫したものであること、またその急迫した危害を避けるために他に措置がないこと、またその危害を排除するために加える行為は危害行為と比例のとれたものでなければならない。つまり竹島のために韓国全土を占領するというようなつり合いがとれない措置はいかぬとか、いろいろ条件がございます。

でございますから、ただちに外国から侵略なり危害があったからといって、ふつり合いな措置が何でもできるというわけではありませんで、自衛権を行使いたしますにつきましても、やはり国際法上の条件に合った場合でしかできないと思います。

[238]
日本社会党(社会民主党) 戸叶里子
そこで竹島が日本の領土である、ところがもしも韓国が竹島を不法占拠した場合に、日本としては、これは日本の国のものであるから、当然日本の領土としてこれをとり返すために、自衛権なり何なりを持っておると思うのですが、その場合に一体日本としては、どういう形で竹島から、不法占拠した韓国に出て行ってもらうような方法が国際法上許されておるわけでしようか。

[239]
説明員(外務事務官(条約局長)) 下田武三
まず外交交渉をして、不法に竹島に来ている軍艦にしりぞいてくれという申入れをするということが、第一であると思います。

それからそのときに日本の船がおりまして、そうしてちょうど竹島の領水でかち合ったというときに、当然平和的にこれは日本の領土であるから出て行ってくれと言えます。

そのときに何をと言って向うが発砲したら、これは緊急事態と申しますか、自衛権の形で当然こちらも撃ち返してもよいものだろうと思います。