昭和31年04月16日 衆議院 法務委員会

[014]
日本社会党(社会民主党) 猪俣浩三
林法制局長官にお尋ねします。今申しましたような、李ラインなる不法なるものを設定し、そこに漁に行っておった日本の漁民を拿捕する、しかもこれを守らんとするなら海軍を出動せしめて砲撃する、これは一体侵略でないのか。

あるいは、竹島なるものを勝手に自分の領土なりと宣言し、そこに砲台を築いて近寄るものを砲撃する、そして韓国の切手には竹島が自分の領土になったという記念としてそういう切手を使っている、そういうようなことは一体日本の国土に対する侵略であるのかないのか。

そういうことは侵略でないとすれば、一体侵略とはどういうことなのか。それを一つ法制的に御説明願いたい。

[015]
政府委員(法制局長官) 林修三
ただいまの李承晩ラインを越えるものの拿捕についての御質問でございますが、現在の状況は要するに李承晩ラインを越えるものを向うが沿岸の警察力をもって拿捕するというようなことの事態だろうと思います。こういう事態が直ちに侵略と言えるかどうかということについては、国際法上いろいろ議論のあることだと思いますので、ただいま外務大臣から御答弁がありましたように、直ちにこれをもっていわゆる日本に対する武力攻撃の意図をもってやったものと言えるかどうかという点についてはまだ問題があるように思います。従いまして、これをもって直ちに日本に対する侵略なりと断定するだけの根拠と言い得るかどうか、これについてはやはり多少の問題があるように考えるのでございます。

竹島については、結局これは、もちろん日本から言えば竹島は日本の領土と考えているわけでございますが、これを韓国がああいう状態において占有しているということについては日本としては不法なことと考えているわけでございますが、これをもって直ちに日本に対する武力攻撃という意図をもってやったものかどうかということについてはなお問題もありますし、やはり平和的に交渉して解決すべきもの、かように考えるのでございます。

[016]
日本社会党(社会民主党) 猪俣浩三
大臣にお尋ねしますが、一体日本漁船を拿捕するのは私ども向うの海軍だと思っているのですが、これは警察ですか。韓国には一体こういう水上警察なんというものが編成されているのかどうか。海軍であるか、警察なんですか。今、林さんは警察だというような御答弁でしたが、私どもは警察と聞いておらない。ことに、軍艦をもって砲撃するなんという警察があるのだろうか。これは海軍だと私は思うのです。いかがですか。重光さんにお尋ねします。

[017]
内閣総理大臣臨時代理・外務大臣 重光葵
私の承知しておるところでは、朝鮮の沿岸防備の警察隊、こういうふうに承知をいたしております。しかし、お話の通りに、それが警察隊であろうが海軍であろうが、そういう行為は日本として認めることができぬことは当然でございます。