昭和30年07月28日 参議院 内閣委員会

[069]
無所属 豊田雅孝
竹島の問題と憲法9条との関係なんでありますが、あれが侵略が行われたそのときであるならば、自衛軍による武力行使ができるというふうに考えられるのでありますが、時日がたったためにこれは国際紛争の解決手段として平和的手段に訴えなければならぬというふうになってきておる。

要するに直接侵略の場合でも時日がそこに相当たってくるならばこれは憲法9条の解釈から言うというと、国際紛争解決手段として考えていかなければならぬものかどうか、その点外務大臣の御所見を伺いたい。

[070]
内閣総理大臣臨時代理・外務大臣 重光葵
私はこの点は理論上は今時日が経過しておるから自衛権の行使はできなというふうには私は見ておりません、理論的には。のみならず、竹島の場合においては、日本の主張は絶えず繰り返しておるのでありますから、主張は少しも傷つけられておらぬと思います。しかし実際問題として時日を経過した後に自衛権の行使ということはますます困難になることは、これは事実であろうと思います。理論の問題で私はないと思います。困難になりますが、さて理論を実際に実行に移すかどうかということに至っては、これは政策問題として非常な重要な問題になるのでございまして、今お話の通りに日本側としては、国際紛争は平和的に解決するのだという政策を根本的に立てておりますから、あくまでも話し合いによってこれは解決すべきものだと、こういうふうに考えてその手段を、その措置をとって今日まで続けておるわけでございます。

[071]
無所属 豊田雅孝
そうすると、理論的には今からでも竹島に対しては自衛権の行動を開始し得るというふうに考えてよろしいのですか。

[072]
内閣総理大臣臨時代理・外務大臣 重光葵
理論的にはそうだと考えます。