平成16年03月25日 衆議院 安全保障委員会

[016]
民主党(民進党) 西村眞悟
自衛権についてお聞きすると言っていましたけれども、これは当たり前の話で、我が国には自衛権があって、必要ならば自衛権を行使しなければならない、そのために今審議している法案があるということです。当たり前のことはもう聞きません。

竹島に関して、大臣の郷里に近い竹島、これは現状どないなっておるんですか。韓国人が上におるんですか。どういう種類の韓国人か、公人か軍人か民間人か。武器は持っておるのかどうか。どういう工事をして立てこもっておるのか、その工事は要塞なのかミサイル発射基地なのか。こういうことで、現状認識をお伺いいたします。

[017]
防衛庁長官 石破茂
昭和29年7月から現在に至るまで、韓国は、竹島に警備隊員、これは警察でございますが、これを常駐させるとともに、宿舎、灯台、監視所、アンテナ等を設置、年々強化されている模様と認識をしております。

平成9年11月には、我が方からの累次にわたる抗議にもかかわらず、500トン級船舶が利用できる接岸施設を完工させている。さらに、平成10年12月には有人灯台を完工させているものであります。

2004年1月現在、本年1月現在、竹島には、韓国の一般住民1世帯3名が居住をしておりますほか、警備隊員38名が常駐されているという報道がなされておるところでございます。そのように認識をしています。

[018]
民主党(民進党) 西村眞悟
韓国が今のような状況で占有している竹島に関して、我が方は、自衛権を発動して彼らを排除し、日本国領土としての実体を回復するということはできるんですか、できないんですか。

[019]
防衛庁長官 石破茂
これは委員もずっと御指摘をいただき、政府もずっと同じ答弁をさせていただいておるところでございますが、一般論として申し上げましたときに、自衛権を発動する3要件、すなわち、急迫不正の侵害があり、これを排除するためにほかの適当な手段がなく、最小限度の実力行使にとどまるべきことということになっておるわけでございます。自衛権発動の3要件というものに照らしましてこれはどうであろうかという一般的な御議論に帰着をしようかというふうに私としては考えておるわけでございます。

では竹島はどうなのというふうに考えましたときに、大韓民国と我が国との外交上の関係、いろいろなものを勘案いたしまして、やはり外交努力というものが必要なのだと思っています。

これは口で言ったって仕方がない話でありまして、委員御指摘のように、例えば私の県であります鳥取県の漁船というものが、一昨年であったかと思いますが、竹島近くで韓国の警備船の尋問を受け、そして体当たりをされて、これは乗り移るときにたしか当たったというふうに記憶をいたしております、正確ではないかもしれませんが。それで境港へ帰ってきたということがございました。

そのとき私は大臣ではございませんでしたけれども、こんなことで泣き寝入りをしてはだめなのだ、それはきちんと抗議をし、そして、このようなことが行われたということに対して、日本政府としてきちんとしたことを言い、そのことを記録に残していかなければだめなのだということを申し上げた記憶がございます、外務省に対しまして。

やはり、私どもとして、韓国が現在そういうような状況に置いております竹島というものに対して自衛権を行使するか否かということは、一般論に照らしましたときに、それはなかなかそういうことにならないだろうと私は思っておりますが、しかし、外交努力といいましても、そういうようないろいろな状況が生起をしておりますわけで、そのときそのときにやはり毅然とした対応をとることが私は肝要なことではないかと思っています。

[020]
民主党(民進党) 西村眞悟
そのときそのとききちんとした対応をしてこなかった、御承知のとおり。それでこういう事態になった。つまり私は、橋本内閣のときに、北は北方領土から日本海の竹島、南の尖閣諸島、領土に関して大敗北を喫し続けたと思います。

今大臣がおっしゃった、平成9年、500トンの船の接岸設備をしたという時点、これは日韓紛争処理に関する交換公文の次元を超えたわけですよ。約束の次元を超えたわけです。向こうが次元を超えたならば、こっちも次元を超えねばならない。しかし、何もしなかった。したがって既成事実は、500トンの船が接岸できる竹島になった、そしてその船は韓国の船だ、ミサイルも設置することができるようになった、こういうことですな。

きちんとしたという内容ですが、日韓紛争処理に関する交換公文で何年も定期的に、行事のように抗議をして、向こうは領土問題は存在しない、こっちは存在するとやっておったんですが、にっちもさっちもいかない。そして、今私が申した質問が出たわけです。お答えは、できないということですな。うなずいておられる。急迫不正の侵害ということについての要件も当たらないだろう、もう上られておるんだからと。

さて、そこで、これはどうなんだろう、不法侵入というのは継続犯である。入ってきた昭和29年の一時点が不法侵入なのではなくて、その者が居続けるその瞬間瞬間に犯罪は継続しているというならば、あすに対して急迫不正のことが本日起こっているではないか、こういうことが言えるんです。家に居座る者に関しては、居座ってから一日たっても正当防衛は成立する、これと同じことです。

だから、これ以上余り繰り返しは聞きませんけれども、もう一つ、きちんとしたことをするのは、500トンの船の接岸設備があるところに500トンの船が来る場合、それを来させない海上封鎖を海上自衛隊はできるか。領空を韓国が領土のように飛ぶけれども、それをさせない、空の封鎖。海と空の封鎖、竹島に関してできるんであろう、こう思いますが、どうですか。できないんですか。

[021]
防衛庁長官 石破茂
継続犯の御議論がそのまま自衛権の議論にスライドできるかどうかということについては、いろいろな議論があるのだろうと思っております。委員は法律家でいらっしゃいますから、そのようなことは十分吟味された上での御発言かと思いますが、私自身は、継続犯の要件というものがそのまま自衛権行使の要件にスライドしてくるのかなというと、それは違うのかもしれないという気が若干いたしております。

委員御指摘の海上封鎖というようなこと、現在それを行うべきだというふうには考えておりません。それは、あくまで私どもとしては外交努力ということによって決着をすべきものである。と同時に、これは防衛庁長官という立場を離れて申し上げるとするならば、この手の領土紛争というものに対して、これを解決するための国際的な枠組みというものは一体どうなるのだという議論が一方にあろうかと思っております。

実際に、この竹島の問題も、私も議員になりまして以来ずっと議論をしてまいりました。あの地域で操業できない船というのはたくさんございます。あるいは、先ほど申し上げたような例もございます。これを、委員のような御議論は御議論といたしまして、一方において、では、このような場合に、韓国がそのような国際的な判断の場所に出ることを拒んだ場合に一体どうなるのだということであります。

私どもは、粘り強い外交努力によってこれは解決すべきものと思っておりますが、これはあるいは委員のお教えをいただきたいところなのですけれども、こういう問題を解決するための国際的な枠組みというものをどう構築すべきなのかという議論も私どもは一方において行いませんと、いつまでたってもこの問題は解決しないということになるのではないか、私は一議員としてそのように考えております。

[022]
民主党(民進党) 西村眞悟
国際的枠組みはできない、できないから我が国が独自に、我が国自身の領土を守るために何をすべきかということの御議論が必要だということですね。漁民が排除される、行ったら銃撃を受ける、アワビとりに行く人が、民間人、漁民でなくても銃撃を受ける、その一事一事が急迫不正の侵害。領土を侵害されるということは、ただ単に領土でなくて、その上で生活しようとする人々全体に対して急迫不正の侵害が、瞬間瞬間、占有されて継続して起こっておるんだということですね。

その何かきっかけが必要だというならば、私は平成9年、500トンの接岸工事をするときに、向こうが次元を超えた以上、こっちも次元を超えるということで初めて解決可能なんだと思っておったけれども、橋本内閣は何もしなかった。北方領土は、御承知のとおり線引きの提案をした、あれは法と正義をどぶに捨てたんですね。線引きです。不法占拠者に対して線引きの提案をした瞬間に、相手は交渉当事者となって、不法占拠だから出ていけとは言えなくなる。それで、尖閣諸島ですな。こういうことです。

では、ミサイル発射台を構築し始めた時点、ミサイルを搬入しようとした時点、これはキューバのことを思い起こしていただいたらいいんですが、軍隊が上陸しつつある時点、こういう時点では、いずれはできるんだろうと私は思いますが、いかがでしょうか。お答えできないかもわからぬですね。しにくい、しにくいですか。できるでしょうと僕は思う。

それは、あれですよ、一議員で長年やってこられた、大臣になった。私は議員の立場。それは、両者思いは共通なんですけれども、立場が違ったら答弁できないというのが日本の防衛思想の一番の欠陥なんです。議院内閣制だから、議員が考えて、議員のときに発言したことを大臣になったら実現するというのが議院内閣制なんです。大臣になったら言えないということが我が国防衛関係には多過ぎるわな。(発言する者あり)余り言うても、答えが長かったらあれなんだけれども。

それで、本当に領土に関しては、国際的なことを探っても無理、無理です。イスラエルとあそこを見てください。日本もそうなんです、領土に関しては。断じて譲歩できない。戦争を決断する、極端に言えばですよ。日本にそれをやれと言っているんじゃないですよ。しかし、例えば平成9年、金泳三大統領が、江沢民さんが韓国に来た、このときに急にハイになって、竹島の部隊に電話かけて、日本のふざけたやろうの侵略を断固として排除しろというパフォーマンスをやって、岩壁工事を始めた、その瞬間に直ちに反応しなければならない。だから、領土は守れないです。

一般の家でもそうです。朝起きたら、どこかの庭の片隅にテントを張ってだれか住んでおると、ほっておいたと、もうだめですよ。ほっておいて、10年たって、例えば、橋本内閣の北方領土のときに、どこからあなたの領土で、領域で、住んでもいい場所で、どこからが私の庭か線引きをしましょうと提案した瞬間に、彼は不法占拠者でなくなる。こういうことを日本がやっているという痛恨の思いを持って竹島も尖閣も見なけりゃならぬ、こう思いますね。

次に、これはなぜそう言うかといえば、文明の衝突なんです。尖閣であれ竹島であれ、国内の統一を確保しようという内政上の課題から、竹島に韓国人の耳目を集める、台湾を併合する、台湾と中国はともに中国であるということを認識させるためには、共通の敵日本が自国の領土を僣窃しているということをアピールしなければならない。だから、尖閣に来るんです。

これは、ことしに入ってから、竹島は、3月1日テレビ生中継のレポートをやりおった、切手を発行しおった、観光ツアーを企画しておる、領有権保全対策の一環と称して携帯電話網を竹島に整備した、これが竹島の流れです。

それから、新聞報道によると、尖閣については、ことし、尖閣を含む台湾から小笠原までの広大な海域での我が国排他的経済水域内における中国の違法な海洋調査が急増して、既に3月で11件に上っておる。昨年は1年間で8件だったのが、ことしはもう3月で11件だ。これは何を意味しておるのか。明らかに台湾総統選挙における中国の主張を実効あらしめるため、あわよくば台湾を併合するために着々とやっているぞという示威運動を兼ねた調査なんです。

だから、これは国際的にどこかの機関がやってくれるというのですが、絶対やってくれない。国際社会はそういう社会ではありません。そういうことで御質問しております。

今、竹島の問題は、長官も本当に気にしておられることだと思いますが、ある一定の次元で、日本は竹島を領土だと言う以上は腹をくくらねばならない。摩擦を避けて領土は解決しない、むしろ、摩擦を引き受けるという思いを決して初めて解決できる、国際司法裁判所に行くという、向こうが納得をするということですよね。