昭和53年03月02日 衆議院 予算委員会第一分科会

[043]
公明党 小川新一郎
私は、竹島問題と防衛についての関連性をお尋ねいたします。

竹島は、日本の領土であり、島根県の一部であるということは政府もすでに認めているところであります。私は、昨年の分科会において、外務省に対し早期解決を強く求めました。しかし、依然として今日も解決せず、昨年8月末、海上保安庁の巡視船「くずりゆう」が竹島近海で韓国空軍に威圧的な行動を受けていることなどはきわめて遺憾であります。平和的外交手段によってこの種の問題は解決されるべきでありますが、この際、竹島に対する防衛庁長官の基本的な見解を聞いておきたいと思います。

一つ、竹島にはわが国の自衛権は及ぶと認識しているのかどうか。

[044]
防衛庁長官 金丸信
竹島は島根県の領域に入って、日本領土であることは間違いない。しかし、施政が現在行われておらない。いろいろ敗戦の結果のしわ寄せであろうと思うわけでありますが、そういうような状況の中で、基本的な考え方としては、平和的にこれの解決を図ろうということで、自衛権があるかないか、こういう問題については、施政が行われておらないわけですから、自衛権はあるのだけれども、自衛権を行使しておらないということですが、この問題につきましては、これは防衛庁の答弁する筋合いのものじゃない、外務省がやる仕事だと私は思っております。

[045]
公明党 小川新一郎
防衛庁長官、領土、領海、領空の保全が防衛庁の任務ですから、わが国の領土であり、わが国の島根県の自治権の及んでいるところであり、行政権はないけれども、島根県の所属であることは政府が認めているわけです。

その領土、領海、領空の、わが国の領土に韓国が、これから申し上げますが、海上保安庁の報告によりますと、韓国軍の武装兵13名、そのほか若干の軍事施設、機銃座ないし砲座があると言われております。この報告は、防衛庁は受けましたか。

[046]
政府委員(防衛庁防衛局長) 伊藤圭一
竹島につきましては、毎年海上保安庁が調査に行っておりまして、その報告を外務省の方にいたしておりますが、それを私どもの方もいただいております。

[047]
公明党 小川新一郎
私がいま言いました事実に間違いありませんか。

[048]
政府委員(防衛庁防衛局長) 伊藤圭一
そのような事実があるようでございます。

[049]
公明党 小川新一郎
わが国の領土に韓国の軍人10数名、若干の軍事施設が設けられているということは、ただいまの防衛庁長官のお話によりますと、竹島には自衛権が及ぶ、こういう認識でございますから、これは侵略、侵入あるいは不法占拠または歓迎、この4つのいずれに当たりますか。

[050]
政府委員(防衛庁防衛局長) 伊藤圭一
お答え申し上げますが、侵略、侵犯という用語は、必ずしも正確に定義されたというわけではないと思いますけれども、現実の問題といたしまして、竹島の状況というのは、わが国の領土に対する不法な占拠であるというふうに理解いたしております。

[051]
公明党 小川新一郎
自衛権の及ぶわが国の固有の領土が不法占拠されている事実は、防衛庁としては、わが国の安全保障上支障があるという認識を持っているのかどうか、お伺いしたいと思います。

[052]
政府委員(防衛庁防衛局長) 伊藤圭一
竹島が不法に占拠されているという現実の問題は、わが国の安全保障上は決して好ましいことではないと考えております。したがいまして、そういう意味では支障があるというふうに言えると思いますが、同時にまた、この竹島につきましては、安全保障の問題も考慮しながら、あくまでも平和的手段により解決をするということで、現在外交ルートで折衝いたしているところでございますので、防衛庁はこの方針を守っているわけでございます。

[053]
公明党 小川新一郎
長官にお尋ねいたしますが、ただいまの答弁の中で、わが国の領土であり、島根県の一部であるその竹島に、韓国の軍人が不法占拠しているということはお認めになりましたが、これに対して、防衛庁長官が、わが国の安全保障上の最高責任者として、わが国の安全保障上支障があると思いますか。

[054]
防衛庁長官 金丸信
わが国の安全ということで支障があるかないか、それは支障がないとは言えないと思いますが、ただいま説明がありましたように、ただいま平和的にこれを運ぼうという基本方針のもとに国がこれを進めておるということ。

いま一つ、いわゆる北方四島の問題につきましても、日本の固有の領土であるということで、これと同じかというような考え方もあるいは持つかもしれませんが、私は竹島と北方四島の問題とは違う、こういうことだと思います。

[055]
公明党 小川新一郎
私は何も北方領土のことは聞いておりませんから、竹島のことだけお答えいただけば結構でございます。

竹島はわが国の安全保障上支障があるのですね。

[056]
防衛庁長官 金丸信
支障がないとは言えないと思います。

[057]
公明党 小川新一郎
ないと言えないということは、あると認識いたします。