平成13年10月25日 衆議院 憲法調査会

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無所属 近藤基彦
先ほど自由党の藤島先生の御質問に、今回のテロの事件に関して、自衛権の問題で、個別自衛権あるいは集団的自衛権に今回日本としては当たらないとおっしゃっていましたけれども、一般的に言って、先生の個人的御意見で結構なんですが、日本が万が一個別的自衛権を発動できるとすれば、その条件というのはどんなものが想定できますでしょうか。

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参考人(拓殖大学国際開発学部教授) 森本敏
従来国会で議論になっている個別自衛権の行使の要件というのは、もちろん御案内のとおりであります。しかし、これはあくまで要件なんでありますけれども、個別自衛権を行使するようなケースというのは、国連憲章上明確な武力攻撃があった場合に私は限られると思うんです。裏返して言うと、例えば日本の領土というものが明らかに侵略を受けるというふうなケースで、だれが見てもそれが国益に対する重大な侵害であると明々白々の場合に限られると思うんです。

例えば、非常に例がよくないんですけれども、非常によくない例だということをお断りしながらわかりやすく議論をすると、例えば竹島という問題があって、竹島は我が国固有の領土だというふうに我が国政府は説明しておりますが、それが事実上韓国によって実効支配されているということを我が国領土に対する侵略行為だとみなして、これを取り返しに行くということになると、これは個別自衛権の行使とは概念されないということです。現に実効支配されている領土が我が国が主張する領土だという場合でも、これは個別自衛権ということにはならない。むしろ、これは国連憲章上武力の行使とみなされる可能性が非常に高いということです。北方領土についても同じだと思うんです。

ところが、尖閣列島のように日本が実効支配しているところを、極めて明確な形で別の国がこの島を軍事力を行使して占拠した場合、これを取り戻しに行くという行為は、私は個別自衛権として十分に説明できると思います。

余り例がよくないので、やや自分でいい例ではないなと思いながら、もしこれをわかりやすく説明するとそういうことなのではないかと思います。