昭和29年12月23日 衆議院 予算委員会

[209]
日本社会党(社会民主党) 三宅正一
その次に、第2項及び第3項にいう国際紛争とは何のことでありますか。自己防衛と国際紛争という表現を使っておられますが、自己防衛の意義をひとつ承ります。

[210]
防衛庁長官 大村清一
国際紛争というのは、一定の概念が法律上あるのであろうと思います。同家間におきまして意見の対立があったような場合において、意見の対立を解決するために武力によって、戦争によってその解決を求めるという場合を国際紛争と称しておると考えます。

[211]
日本社会党(社会民主党) 三宅正一
大分上手な答弁をされまして何でありますが、そこでお伺いいたします。

第2項目で戦争と武力の威嚇、武力の行使が放棄されたのは、国際紛争を解決する手段としてはということである。その次に、他国から武力攻撃があった場合に武力攻撃そのものを阻止することは自己防衛そのものであって、国際紛争を解決することとは本質的に違うのであります。従って自国に対して武力攻撃が加えられた場合に国土を防衛する手段として武力を行使することは憲法に違反しないと書いてあります。

そうして今あなたは大体概念があると言われましたが、そこで私はその概念について具体的に承ります。第一竹島は日本の自国ですか外国ですか。

[212]
防衛庁長官 大村清一
もとより日本の領土であると考えます。

[213]
日本社会党(社会民主党) 三宅正一
そこで自国である竹島におきまして、たとえば日本の測量士なりが竹島におりまして、そこに韓国から兵隊が来まして、こちらがアメリカから貸りもののフリゲート艦でぶっぱなす。前の木村長官はよくそんな話をしておったのですが、その場合には自衛権の発動のいわゆる自己防衛ですか。それとも国際紛争ですか。私がこれを聞きますることは、その国際紛争と防衛ということは、抽象概念としてはきわめて明白であるけれども、具体的に竹島はあなたは自国だと言われる。

自国に日本人がおって、そこに朝鮮の兵隊が来て発砲して、こっちの海上保安隊か何かが行ってまた発砲して戦力を行使した場合に、これは憲法でいう国際紛争の解決のために兵力を使ったのであるか、それとも防衛で使ったのであるかということは、それはいろいろのことがある。

そういう場合においても憲法の前文は、国連に訴えるなり国際司法裁判所などに訴えて解決しろ、戦力をもって戦争をやってはならぬと規定しておる。これは明らかなんです。

そういう点がごまかしが出て来るので、この点についてもう一ぺん明確な答弁を得たいと思います。

[214]
防衛庁長官 大村清一
例にあげられました竹島は明らかに日本の領土でありますから、これに対しまして直接侵略がありました場合におきまして、これに自衛隊が抗争することは当然やってよろしいことと考えます。

ただ現実の問題といたしましては、まだこの防衛出動をいたさないだけでございます。