昭和28年10月28日 衆議院 外務委員会

[139]
自由党(自由民主党) 佐々木盛雄
まず第一に外務大臣に対してお伺いいたしたいのは、先刻来各委員からも熱心に発言のありましたように、李承晩ラインをめぐる日韓の紛争であるとか、竹島の問題というものは、単なる国際法上の論争の問題ではなく、単なる原則論の争いの問題ではなくして、まさに公海の上において、あるいは自国の領土の上におきまして、主権が不法に侵略を受けておる、こういうことは明らかに海賊的な行為である。

私はきわめて簡単な議論でありますが、まずそういう根本の認識の上に立って物を考えたい。さような見地から承るわけですが、韓国側の行為はまさに海賊的な行為である、こういうふうに私たちは認識をいたしておりますが、外務大臣はどのような御所見でありますか。

[140]
外務大臣 岡崎勝男
私の立場といたしましては、海賊的などという言葉は使いたくありませんが、非常に合法的でない不都合な行為であると思っております。

[141]
自由党(自由民主党) 佐々木盛雄
私はなぜこういう問題を持ち出すかと申しますと、単にこれは公海自由の原則をめぐっての国際法上の紛争ということではなくして、日本人の生命財産が、韓国側の海賊的な行為によって不当に蹂躪されておる、あるいはまた竹島という日本の領土の一角が不法に侵略をされておる。独立国として公海上において、あるいは自国領土内においてその主権が蹂躙されて、手も足も出ないというような、そんな醜態があろうはずはないのであります。

ここに先刻来各委員のおっしゃっておった国民として納得しきれないものがあるのであります。もとよりこの不法行為というものは、韓国側の不法なる態度によって生じたことは申すまでもないことでありますが、国民の納得しきれないのは、明々白々に韓国側が不法であるのにもかかわらず、会談はむしろ朝鮮側の一方的な行為によって決裂し、韓国によって引きまわされておる。国敗れたりといえども、この地球上の一弱小国であるところの韓国から、日本がこんな屈辱を受けて手も足も出ない、まことに醜態でないかという声は、私はけだし一般の輿論、国論としては当然のことであろうと思います。私は必ずしも外交当局が輿論と同じ行動をとれということを主張するものではありませんけれども、輿論として当然のことである。その上にこそ吉田総理も、死力を尽してもこの紛争の解決に当れ、こういうことをおっしゃっているのであろうと思います。

申すまでもないことでありますが、水産庁の船までもが不当に拿捕されて拘引された。一国の公船が不当に拿捕されたようなことが、戦争を開始するというところの理由にもなったという歴史はすでにあるのであります。私はそういうふうな根本的な認識の上から、今韓国側の行為はまさに海賊的な行為ではないかということを、あえて外務大臣の口からもはっきりしていただきたいと考えた私の考え方を了とされてもらいたいと思うのであります。

次に私は承っておきますが、先ほども同僚議員からもお話が出ておりましたが、今日の国際外交の原則というものは相互主義の上に立っておる。先般の日米通商航海条約のごときにおきましても、やはりこの相互主義の上に立って条約が結ばれておる、これは独立国としては当然のことであると思います。

このときにおきまして、韓国側だけが一方的な不法な態度に出る。われわれは甘んじてこれを受けなければならぬ、こういうことではまことにわれわれも承服できないわけでありますが、あえて経済的な報復措置と申しますか、少くとも対抗措置は当然とる権利をわれわれは持っておるのであります。

さような見地から考えまして、ただいま日本におります韓国人はすでに60万であります。日本は今日食糧難です。今日この60万の朝鮮人、韓国人に対して生活保護を与えておる。ない食糧をさいて提供いたしておるわけであります。しかも事あるごとに、あえて動乱を好む不良韓国人のおることも御承知の通りであります。私は当然出入国管理法の対象としても、今日日本にあります韓国人に対する態度につきましては、新しい措置を設けなくても、出入国管理法を厳重に適用する必要がありはせぬかと思う。

さような見地から考えましても、対抗的措置といたしまして、日本におります韓国人に対するところの強制送還、ないしはこれらに対するところの何らかの対抗措置というものを、当然今日の段階においてはもはや考えるべく、そして行うべき段階ではなかろうか、またこれが今日9000万国民のほんとうの声であろう、私はこのように考えるわけでありますが、これらの点につきまして外務大臣は、どのようなお考えをお持ちになっておるでありましょうか。

[142]
外務大臣 岡崎勝男
そういう点も考慮の対象にはもちろんいたしております。しかし実際に実行するということになりますと、いろいろの問題があるのでありまして、これは出入国管理庁の方で御説明するかもしれませんが、厳重に法を施行することについてはけっこうでありますが、今おっしゃったような点は、いろいろ考慮を要する点があると考えております。

[143]
自由党(自由民主党) 佐々木盛雄
私はもう簡単に結論を急ぎますが、場合によってはそれらの対抗措置をもとるのだという用意をお持ちになっているかどうか、この一点だけを明確にしておいていただきたい。

[144]
外務大臣 岡崎勝男
その心構えでおります。



[167]
自由党(自由民主党) 佐々木盛雄
私は最後に一点だけ明確にしておいて質問を打切りますが、それは今問題になっております火器を巡視船に装備するということは、巡視船自体が攻撃をこうむった場合にのみ使い得るのであって、他の場合において漁船を保護したり、あるいは日本の竹島の領土が不法に侵略をこうむった、そういう場合において日本の主権が不法行為によって蹂躪されておる、そういう緊急事態に対してもその火器を使用することがない、こういうお考えであるか、その点をひとつ明確にしていただきたいと思います。

[168]
説明員(海上保安庁長官) 山口伝
警察行為の限界で、正当防衛として処理するだけであります。