昭和52年11月24日 参議院 内閣委員会

[163]
日本社会党(社会民主党) 野田哲
侵略の脅威という言葉を使ってあるわけですが、この侵略の脅威というのは、能力に意図が結合して侵略となると、こうなっています。能力というのは、つまり軍事力、意図というのは国家としての侵略する意思と、こういうふうになっていますね。

そうすると、端的に私は伺いますけれども、あの竹島ですね、竹島には現に韓国の軍事力が行使をされている。海上保安庁も機関銃の銃座が据えられていると、こういうことで、軍事的な装備が施されている。そしてさらに、韓国の責任者は、竹島の領有権が侵されるようなことがあれば軍事力を行使をすると、こういうふうに公言をされているわけです。

そうすると、まさにこれは意思と能力がまざまざとここには結合した形があらわれているんですが、この竹島の状態というのは、これは防衛構想からいえば小規模な侵略、限定的な侵略ということになるんですか、全く私はこの「日本の防衛」に書いてある限定的な侵略という状態そのものだと思うんですが、いかがですか。

[164]
政府委員(防衛庁防衛局長) 伊藤圭一
いわゆる竹島というのは、現実にはわが国の施政権の及んでいないところでございます。

ということでございまして、外交的な折衝をやっているわけでございますので、いわゆる自衛権の発動の要件というものの中の、急迫不正の侵害があり、しかも他に全く方法がないときに最小限の自衛力を行使する対象というふうには考えていないわけでございます。

といいますのは、先生も御承知のように、外交折衝により問題を解決すべく鋭意努力が続けられている場所だからでございます。

[165]
日本社会党(社会民主党) 野田哲
外務省に同じ質問をするわけですが、アジア局長見えておりますか。――あの竹島の状態、まさに軍事力が行使をされて日本の主権が侵害されている、この状態で外交交渉が行われているといったって、全然これは進展を見ていない、こういう状態があるわけですが、これは「日本の防衛」という防衛白書に書いてある限定的な侵略の状態、まさにそういう形態がいま具体的にあらわれているわけですが、これについてはどう考えておられますか。

[166]
政府委員(外務省アジア局次長) 枝村純郎
ただいま防衛局長からも御答弁いたしましたとおり、私どもとしては、外交的な折衝を通じてあくまで平和的な手段によって解決するということでございますし、そのための道はまだ閉ざされていないというふうに理解いたしております。