昭和35年04月06日 衆議院 日米安全保障条約等特別委員会

[175]
民主社会党 受田新吉
これに関係してあなたに、先般本委員会でも、また参議院の委員会でも、あなた御自身及び岸さんから御答弁になった中に、竹島を不法占拠しているような事態が再び繰り返される場合は、日本及びアメリカの共同防衛義務の発動の対象となると言われたことは、再確認さしていただいてよろしゅうございますか。

[176]
外務大臣 藤山愛一郎
将来、竹島以外の日本の施政下にある島にああいう事態が起こりましたときには、不法なる侵略でございます。従って、ただいま申し上げておる通りでございます。

[177]
民主社会党 受田新吉
竹島以外ですか。竹島のことをお尋ねしたときに、竹島に再びこういう事態が起こったらという意味の御発言であったと私は了解しております。

[178]
外務大臣 藤山愛一郎
竹島は、すでに現在8年間にわたる国際紛争になっておりまして、日本もこれを司法裁判所等に提訴いたすような申し出をしたこともございます。従って、国際紛争というものでありますから、できるだけ平和的に解釈するのが望ましいことであり、またしなければならぬことでございます。それを第三者の判断に待つか、あるいは国連等の機関によって判断するかは別といたしまして、そういう紛争の平和的解決――先般申し上げましたのは、竹島に起こったと同じようなことが他の場合に起こった場合には、やはり第5条の適用が起こり得る事件であるということを申し上げたのでございます。

[179]
民主社会党 受田新吉
私は、そのお答えは少しわれわれの質問からそれていると思うのです。竹島を現在不法占拠している人々が、一応韓国へ引き返した、その後において再びこれを不法侵略するというような場合を、あなたが示しておられるものかと思ったのでございますが、これはいかがですか。

[180]
外務大臣 藤山愛一郎
むろん、今竹島を占拠している韓国が一ぺんすっかり引き下がってしまいまして、新しくまた竹島にやってくるということでありますれば、引き下がったこと自体は、国際紛争が解決したことでございます。

そうして今度新しい事態として同じことが起これば、当然われわれは不当な侵略として、そのときに考えざるを得ないのでございます。

[181]
民主社会党 受田新吉
そうすれば、竹島の場合も含むわけですね。そうしてその場合と、竹島にもう一つ考えられる場合は、現在の不法占拠している人々から、こちらから漁船とかあるいは調査などに行ったときに、不法の攻撃を受けるという場合、これはいかなることになりますか。

[182]
外務大臣 藤山愛一郎
その場合に、正当防衛をやりますことは、その人たちの当然なすべきことであろうと思うのでありまして、そういう意味における行動でございます。

われわれは、あくまでも8年間の経緯でもって、この紛争を平和的に解決するということをいたしておるのでございますから、そういう意味においてわれわれは今考えておるということを先ほど来申し上げておるわけでございます。