昭和33年02月27日 衆議院 外務委員会

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自由民主党 山本利壽
もう一つ、日本海における竹島はわが国の領土である。これはもう日韓合併以前から、わが国の領土としてはっきりしておる。これは島根県の管轄のもとにおいて、行政を行なっておった。人は住んでおりませんけれども、島根県の漁民はあの周囲に行って魚をとっておった。

サンフランシスコの平和条約が締結されるときに、その平和条約の審議の際にも、私はしばしば、ここではっきりしておかなければ、竹島の領有ということについて、韓国との間に疑惑が起るということを、外務当局に向ってしきりに発言したのでございますけれども、あれはマッカーサー・ラインにかかっておるだけであって、韓国との問題ではないから、大丈夫これは日本に帰るものであるという答弁があった。

ところがあにはからんや、その後において、韓国はこの領有を主張して、そこを防備しておる。そこに韓国の領土であるというところの柱も立てておる。しかしわれわれはこれには納得していない。だから自衛隊の建前としては、わが国の領土が侵された場合には、直ちに出動してもいいはずである。

またあの広い李承晩ラインの中を韓国の領海と認めない場合においては、わが国の漁民がその生活のために漁をする場合には、それを保護する責任があると思う。これをむげに拿捕して抑留していくということは、それは国民の権益を阻害するものであるから、理屈の上からいえば、これは自衛隊が出動してもいいと思うけれども、しかしながらこういう問題はわれわれは力によって解決しようとは考えない。そういう段階ではない。先ほど申しましたように、わが国の国民は再び戦禍に巻き込まれることをいとうております。韓国もおそらくそうでありましょう。世界の平和を好むところの人々はもう戦争があってはならぬと考える。そういう際に、うっかり日本の海上自衛隊が出動して、向うの巡視船が日本の漁船を拿捕しようとする際に、割り込んでいってこれを防衛したのでは、まかり間違って再び戦争が起ったりしてはまことに残念なことであるから、理屈の上からは、わが国の領土である竹島が侵略されておるのであるから、自衛隊は堂々と行ってこれを取り返すということはあり得る。

繰り返しますけれども、防衛庁長官も私どもも、今韓国と戦火をまじえたくない。これを円満なる交渉によって妥結しようとする。しかもその段階に今来た。両国の抑留者をお互いに釈放する、その段階に今進みつつある。ことに近く両国は正式な交渉に入るのであるから、理屈の上では、自衛隊は出動しても国際法上は差しつかえはないけれども、その念願からわれわれは差し控えておるのだというのが、私は理論的に正しい。