平成08年02月13日 衆議院 予算委員会

[265]
新進党 石井啓一
まず、質問通告はしておりませんけれども、大変話題になっております日本海の竹島の問題につきまして御見解を総理及び外務大臣にお伺いをしたいと存じます。

若干御説明いたしますと、国連の海洋法条約、200海里の経済水域の設定に伴いまして、日本海の竹島の領土問題が我が国と韓国との間で再燃をしたわけでございます。そして、連立与党の訪韓団の訪問が延期をする、こういう事態になりましたし、また、最近伝えられるところによりますと、この竹島の周辺におきまして韓国の軍の演習が行われる、こういうニュースも入ってきております。

極めて残念な状況にあるわけでございますけれども、そこで、お伺いしたいのが二点ございまして、一つは、竹島に関する我が国の立場を改めて表明をしていただきたいと存じますし、もう一つは、現在ぎくしゃくし始めましたこの日韓の現状、状況をどのように回復していくのか、総理及び外務大臣にお答えをいただきたいと存じます。

[266]
外務大臣 池田行彦
まず、竹島につきましての我が国の立場でございますけれども、我が国は従来から一貫しまして、歴史的な観点から見ましても国際法上から見ましても我が国の領土である、こういう立場でございます。

一方、韓国におきましては、やはり歴史的な観点あるいは国際法上から見ても韓国の固有の領土である、こういう主張をしておられまして、さらに、いわゆる実効支配をしているということも踏まえて、両国間に領土問題はない、そういう主張をしておられる、こういうところでございます。

さて、そういうことを踏まえまして、今回の問題でございますけれども、これは竹島におきまして韓国側が従来から警備の要員等を配置しておるわけでございますが、その船舶の接岸あるいは荷揚げ等の設備の工事をする、こういうことを確かめたものでございますから、我が国といたしましては、先ほど申しましたような従来からの立場を踏まえまして、遺憾の意を伝達したところでございます。これに対しまして、韓国側はやはり先ほど申しました韓国側の立場に立って、こちらの申し入れは受け入れられない、内政干渉である、こういうことがあった、こんなことでございます。

そして、与党の訪韓団のお話がございましたが、この問題につきましては、いろいろな事情を勘案されまして、より適切な時期に訪問することが適切であろう、韓国側とも相談なされて、そういうことで延期をされた、こういうふうに聞いております。

それから、いま一点お話ございました、韓国軍の演習云々の話でございますけれども、これは韓国軍のスポークスマンによりますと、これまでも四半期ごとにあの海域で演習は行ってきた、そうして、ことしの第一・四半期についてもそういう計画はある、しかし、具体的にそれをいつ実施するかはまだ確定していない、そういうことを軍のスポークスマンが表明した、こういうふうな情報を得ているところでございます。

さて、そうして最後に二つ目の御質問の、これからこの状況にどういうふうに我が国として対応していくか、こういう点でございますが、私どもといたしましては、まず韓国との国交関係、これは大切に考えております。何と申しましても共通の価値観を有しております。また、安全保障上その他のいろいろな面で共通の利害を有する国でございますから、この両国間の関係はそのものとしてももとよりでございますが、さらにこの極東アジア地域の平和と安定を維持していくという観点からも極めて重要であると考えております。

したがいまして、竹島問題についての我が国の立場は先ほど申しましたように一貫したものでございますが、この問題に関する両国の立場の相違というものが両国民の間の感情的な対立に発展して、それが両国の友好協力関係を損なうということがあってはならない、こういうふうに考えておりまして、両国間で冷静に、静かに話し合いを積み重ねてまいりたい。そして、適切な道を模索いたしまして両国の友好関係をしっかりと維持してまいりたい、このように考えているところでございます。