昭和29年09月14日 衆議院 外務委員会

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自由党(自由民主党) 福田篤泰
竹島問題でありますが、御承知の通り韓国側はすでに灯台の設置、いわゆる水路の告示の通知もかってに出しまして、今や日本からの侵略を守ると称して、近く相当の数の警官隊を派遣するということを韓国は発表しております。

これについて外務省は従来通りの一片の抗議だけを繰返すおつもりであるか。あるいは国際裁判というようなきわめて悠長な手続をやはり御考慮になっておられるか。それともこういう無法な相手方に対しては、強固な決意のもとに、たとえば報復手段をとるとか、はっきりとした国民の感情を相手方に明示するような強硬手段をとる措置を御用意されているかどうか。3点についてお伺いいたしたいと思います。

[025]
外務大臣 岡崎勝男
竹島の問題はまことに遺憾でありまして、われわれもはなはだどうもこれは当を得ない措置であると考えておりますが、われわれの憲法の趣旨に基きましても、また従来の政府の方針から申しましても、これは非常に不当なことで、国民が憤慨されるのも無理はない。また韓国側の態度について何ら弁護すべきものはないのであります。しかしそうかと言って暴に報いるに暴をもってするということは、今のところ政府としては考えておりません。平和的手段によってこの問題を解決するという方針にはかわりがありません。

ただ一片の抗議をもって足りません状況になって来ておりますから、さしあたります国際司法裁判所に提訴するというようなことをすべきではないかと思って今研究しておりますが、お話のようにそれもはなはだ手ぬるい手段ではありますし、また韓国側が提訴に応じなければ裁判の問題にならないのであります。

しかしわれわれも堂々たる主張はこれを国際的に当然認めらるべきものでありますから、国際司法裁判所に提訴する等の問題は考慮するつもりで考えております。またその間のいろいろな事情は、友好国の代表者等には十分説明をいたします。

かりに韓国側が既成事実というような種類のものをねらってああいうことをいたしているとしましても、関係自由主義諸国の間には、よくこれらの事情がわかっておるという事態に持って行きたいと思っております。いずれにしましてもできるだけまず平和的手段をもって、日本の正しき主張を貫徹するということにあらゆる努力を傾けたい、こう考えております。

[026]
自由党(自由民主党) 福田篤泰
御答弁によりますと、あくまで外交手段、平和手段で解決したいという御趣旨のようであります、今暴をもって暴に報いないと言われますが、韓国側の竹島の不法侵入は、明らかにわが領土に対する侵略であると思いますから、これに対してそういうお考えを持っておられるかどうか。

直接のわが領土に対する侵略である場合には、自衛隊としてどういう法的立場に置かれるか、外務省の見解を承りたい。

[027]
外務大臣 岡崎勝男
これは考えようによる問題でありまして、私も日本の領土に対する不当な侵害であるとは考えておりますけれども、竹島自体が人の住み得ない岩でありまして、従って日本の国民の生命なり財産なりに危害を及ぼすという種類のものには直接にはならないわけであります。

それから韓国側も文勢いろいろ引用しまして、これは昔から韓国側の領土であるという主張をいたしております。従って韓国側から言えば、あるいは韓国側でなくしても、見方によってはこれは一種の国際紛争であるという議論も立たないことはないような情勢になっておりますので、従いましてわれわれとしてはこういう問題については、まずでき得る限りの手段を尽すという意味で、平和的手段で解決をいたしたい、こう考えております。

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自由党(自由民主党) 福田篤泰
ただいまの外相の御答弁によりますと竹島は無人島である。そういう立場から、日本の領土権に対する侵害という感じを薄く持たれておるような印象を受けておりますが、もしそうだとすれば事大なる問題であります。

無人島であろうが、あるいは市街地であろうが、日本の領土である以上は、これは一歩たりとも外国からの侵略を許すことはないと思うのでありますが、この点についてもう一度、無人島ならばわが方の領土の主張はそう無理にしてもしょうがないというお考えであるかどうか、その点はっきりお伺いしたい。

[029]
外務大臣 岡崎勝男
私はそういう意味で申しておるのではなくて、人が住んでおらないものですから、日本の国民の生命財産に直接の危害は現実のところ及ぼしていないということを申しておるのであります。

しかしながら領土であることは何らかわりがない、また領土を守るべきことは当然のことであります。従ってその点において領土を守るという趣旨においては、無人島であろうといかなる場所であろうと同様なことはお話の通りであります。

そこでいかなる方法で領土を守るかということにつきましては、われわれはさしあたりあらゆる平和的手段を尽してこの領土権を維持することにまず努力をいたすべきものであると考えております。

[030]
自由党(自由民主党) 福田篤泰
いずれこの問題は木村保安庁長官その他直接防衛の責任に当っておられる方に答弁を求めますが、外務省として平和的に解決したいという気持はわかりますけれども、もう少し独立国としてのわれわれの領土に対する熱烈な民族感情をしっかり頭に入れて置いていただきたいことを特につけ加えておきます。