昭和53年05月11日 参議院 商工委員会

[316]
日本社会党(社会民主党) 穐山篤
尖閣諸島と竹島を同じに扱っていくのは少し議論として無理があるわけですが、竹島に少し戻してみたいと思います。

固有の領土である、これはもうどこから注文がついても日本としては十分主張のできる根拠、理由あるいは歴史的な経緯もあるという意味で、現在の状況というのは、他の国がわが国の領土に侵入をして占領している、こういう状況にあるわけですね。

私先ほども言いましたように、韓国側の態度はけしからぬとは言ってみても、韓国のやり方、立場あるいは方法とすれば事実を積み重ねていっている。これがあと何年たつかわかりませんけれども、この周辺地域について仮にたなの開発という問題が起きてきたときに、日本側は当然この日韓大陸だなと同じように強行に主張すると思います。しかし、有望な資源がその下にあると仮定をしますと、当然出てくる問題は、長い時間かけて争うよりも共同で開発をするというふうなことを含めて妥協をせざるを得なくなってくる、こういう懸念も持つわけです。これは何も私だけの問題でなくて、すべての人がそういう懸念を、少なくとも日韓の間にはそういう要素が常にあるというふうに思うのはごく常識論だと思うんですが、その点についていかがですか。

[317]
政府委員(外務省アジア局長) 中江要介
私どもは竹島については韓国が主張していることが全く間違いであって、これは日本のものにいますぐならなきゃならぬというような、つまりいままで正当に日本が主権的権利を行使しているところに韓国が無法にも入ってきたということではなくで、日韓正常化のときにすでにそれはもう紛争であるという認識をしておるわけでございますから、いまなすべきことは紛争を解決することであって、侵略を排除するとか、不法な入国を追い出すということではないわけであります。

したがいまして、これは紛争の解決として、先ほど来申しておりますように、話し合いによって平和的に解決するということで、その解決の結果がどうなるか、これはどっちかが100%勝って、どっちかが100%負けるというのが一つの解決でございましょうし、それがなかなかできなくて、いつまでもペンディングになっていると、これは未解決の問題ということでしょうし、それはどういうふうになるかは、これは両方の話し合いの結果ですが、一番円満な解決の道は、両当事者がお互いに信頼し合って、誠意を持って解決のために努力するということであって、自分の主張を通すことだけを主張し合うような話し合いなら意味がないと、こう思います。

したがいまして、相当いいタイミングを選んで、そうして、高いレベルでこの話を決めていくということでございませんと、事務的にはなかなかむずかしい。法律論争を繰り返すといま先生がおっしゃいましたようなことになりかねないと思います。