昭和28年10月19日 衆議院 外務委員会

[137]
自由党(自由民主党) 佐々木盛雄
政府当局におきましても、少しくこの朝鮮問題の重大性というものに対する認識が疑わしく私には思われる節もあるわけでありまして、一国の領土が、明らかに他国によって侵略を受けておる、この点を特に私は強調いたしたい。

特に公海に対して一国の領海を不当に拡張するということの争いばかりでなくして、竹島の問題のごときは、明らかに父祖伝来の日本の領土である。これに対して韓国側が上陸して来て、それに韓国領土であるということの標識を立てておることは、御承知の通りであります。しかもそれらの侵略行為を行うことによって、韓国側は軍艦まで持出しておる、明らかに威嚇行為を行っておる、また日本の海上保安庁の船に対しても、臨検等の行為を行っておる。

かようなことに対しまして国民が大いに輿論を喚起することは、私は当然のことであると思うのでありますが、かくのごとく一国の領土が他国によって侵略を受けておる、私はかように考えるわけでありますが、この侵略を受けた場合において、侵略行為を排除するために、いかなる方法によってこれを排除することができるか、政府といたしましては、日韓会談によって円満なる交渉をするということでありますが、円満なる交渉も、すでに韓国側の不誠意な態度によって今打切られておるような状態であります。一頓挫をいたしておるような状態であります。私は日本の主権が侵されたということは、もっと深刻な、緊急な事態である、かように考えるわけでありまして、政府といたしましても、これに対する緊急な対策をとる必要があるのではないか、この領土の侵略に対して日本の主権が侵されておるという立場に立って、いかなる方法によってこの侵略行為を排除しようというお考えであるか、これらの点に対する所信を承りたいと思います。

[138]
外務大臣 岡崎勝男
これはわれわれとしては竹島が日本の領土であるということは確信をいたしておりまして、その間ごうも疑いを入れることはないと信じております。しかしながら、韓国側は先般抗議書を逆によこしまして、これは韓国側の領土であるという歴史的の事実があるということを申して来ております。

これについてはもちろんこれに反駁するだけの十分な材料がありますが、要するに形は国際紛争になっておるのでありますから、自衛手段として、たとえばそこに人がおればまたいろいろ自衛手段も講じましょうが、国際紛争になっておるこの竹島につきましては、平和的な方法でこの紛争を解決する、これが憲法の命ずるところである、こう考えてそのつもりでやる考えであります。



[149]
自由党(自由民主党) 佐々木盛雄
もう一つであります。それでは最後にもう一つ承っておきたいと存じますが、先刻来第三国によるところの仲介依頼のお話があったようでありますが、日本の領土の一角が明らかに侵略を受け、日本の主権が外国によって侵害を受けておるのでありますから、少くとも日米安全保障条約の精神から考えてみましても、私は、当然アメリカが進んでこの紛争解決に当らなければならぬところの道義的の責任はあるのじゃなかろうかと考えるわけであります。

すでに韓国側におきましては艦艇を動員し、そうして武力の行使をいたしておるわけであります。武力の行使をすることによって日本の領土が侵され、そうして日本人の生命財産が損害を受けておるわけでありますから、当然日米安全保障条約の発動を見ても決して不都合ではない、私はかように考えておるわけであります。

もしこのようなままで行くならば、日米安全保障条約というものは、単なる日米外交の飾りものにすぎないのであって、ほんとうに何のための条約であるかということを疑わなければならぬのであります。従って、私は重ねて外務大臣に、これらの問題につきましては、アメリカ当局に対しても積極的に仲介方に対して意思表示をしてほしい、このような二とをひとつお願いをいたしておくわけであります。