昭和28年09月10日 参議院 水産委員会

[074]
自由党(自由民主党) 秋山俊一郎
それからこの水域問題でなしに竹島の問題につきまして只今御報告がございまして、今日では韓国がこれに何ら手を触れていないということでありますから、さように将来も収まっておれば結構でありますが、しばしば新聞等に報ぜられるところによりますと、依然としてあれは韓国領であるということを向うは主張しておるようであります。

先国会の末期におきまして、あの問題を外務当局、たしかアジア局の第二課長であったかと思いますが、お尋ねした際に、私は明らかに日本の領土に対して外部からの侵入である、不法侵入である、不法占領である、そういう場合にはアメリカ駐留軍によってこれは処理さるべきものじゃないか。日本の領土に対して侵略する外国の侵略に対しては日本の官憲が、政府が手をつけることができない現状であるならば、駐留軍によってこれをやってもらうように要請すべきではないかということをお尋ねしましたときに、いや、これは我々は不法入国とみているとお答えがあったので、私は実に意外に思いまして、当時それはどうも話が違いはしないか。だからしてこれは外務当局の御意見をまとめられてそれが果して不法入国というお扱いをしているのであるかどうか、そのことを改めてアジア局長からお答えを願いたいということを要望いたしましたところが、丁度病気というわけでアジア局長おみえにならずにそのまま会期が終了したわけであります。

若し不法入国であるならば、行ってその入国した者をどんどん捕まえて来い、それは日本の保安庁の任務じゃないか、或いは海上保安庁の任務であり、又警察の任務である。それを外国船もへったくれもないじゃないかということを我々は他の委員と共にお話して、それは恐らく何かの考え違いであろうと考えたのであります。外務当局はやはりあれはあの当時の行き方は、不法入国と認めておられるかどうか、この点をお尋ねいたします。

[075]
説明員(外務政務次官) 小滝彬
韓国の漁船が許可なしに入って来て漁業をする、或いは洞穴に入っているというのは不法入国として法律上は認めるべきものであろうと私どもは考えております。

ただ併し砲を積んだ艦艇がそこへ無害航行権の発動でなくして、通路でも何でもないのにそこにぶち込んで実力を似てそこを占領するというような行動をするということになれば、これは勿論別個の問題でありまして、日本の自衛権によって、これを法律的に言えば、退去せしめる措置もとり得るわけであります。

併しこれまで入って来ておりましたときは、ただ漁民が入って来てそこで漁業に従事しているといういわゆる不法入国の形式でありますから、その問題として取扱わざるを得なかったわけであります。

その後発砲したという事件が起ったのでありますが、これは先方をして言わしむれば、自分の領地であるから、そこへ入って漁業をしてけじからん、そこで本部のほうへ連れて行こうとしたのを拒否したから威嚇発射をしたということが向うの言い分であります。

でありますからして、こちらのほうは竹島の従来の歴史なり法律上の地位を述べてこれに抗議を続けて来たわけでありまして、この漁民が入って来るという問題だけをとれば不法入国というようにアジア第二課長が説明したのは、外務省としてまとまった考え方であるというように御承知願いたいと存じます。