昭和30年07月25日 参議院 内閣委員会

[177]
無所属 豊田雅孝
それではさらに、憲法9条の問題につきまして、従来抽象的にいろいろ議論をせられておったのでありますが、この竹島の問題という、ああいう具体的な問題について総理の率直なる御見解を伺いたいと思うのでありますが、竹島は御承知の通り占拠せられておるのでありますが、かりにこれを日本側から反撃するということは、これは憲法9条にいう国際紛争の解決手段としての武力行使というふうに見て、これは憲法9条ではできないと解釈しますか、あるいはわが領土権を現実に侵されておるのでありますから、これは回復するのは自衛権の発動である、自衛の行動の範囲内であるという考え方からいたしまして、これは憲法9条からもできるのであるという解釈をするのか、そのいずれでありましょうか。

[178]
内閣総理大臣 鳩山一郎
率直に言えば、竹島は日本の領土です。日本の領土を占領せられたのでありまするから、これは侵略と見るのが妥当で、自衛権の発動はできるわけであります。

ただ、それをすべきがいいか、あるいは談判によって、武力の解決をせずに、防衛をせずに、外交談判によって解決するのがよいか、これはまあどっちを選ぶかということが問題になりますけれども、日本の領土を侵略せられているということには見るべきものと思います。

[179]
無所属 豊田雅孝
竹島の侵略が行われてからある程度の時日をたっておらなければ問題なく考えられるのでありますが、相当の時日がある場合においてなおかつこれは反撃することが自衛権、行動権の範囲内であるというふうに解釈することについては何ら疑義なくさようにお考えになるというふうに解釈してよろしいでしょうか。

[180]
内閣総理大臣 鳩山一郎
理論から言えば私は領土侵略だと思います。自衛権を発動してもいいと思いますけれども、あなたのおっしゃるように時期を経ておりますからこれはやはり談判によって、戦争の方法によらず外交的手段によって解決する方が穏当であろうと考えます。