昭和53年06月13日 参議院 商工委員会

[431]
日本共産党 市川正一
ではその竹島それ自体の問題について伺いますが、先日わが党の安武委員も明らかにいたしましたように、竹島における韓国の不法占拠の状況というのは、まさに一方的、かつ、不法な武力による占拠という状態だと言うことができますし、これは福田総理もそのようにおっしゃったと思う。

ところで、外務省の見解を伺いたいんでありますが、こういう竹島の状態というのは、たとえば国連が49年12月14日に安保理事会のガイドラインとして「侵略の定義」を作成しております。これもせんだって安武委員がいろいろやりとりをいたしましたが、この第3条、簡単ですからちょっと引用してみますと、「国家の軍隊による他の国家の領土に対する侵入もしくは攻撃、一時的なものであってもかかる侵入もしくは攻撃の結果として生じた軍事占領または武力の行使による他の国家の領土の全部もしくは一部の併合」というものにいわば当てはまるような事態ではないのかどうか、私はこれを安保理事会に、国連に提訴せよとか、そういうことを言っているんじゃないですよ。いわば認識としてこういうガイドラインの第3条に当てはまるような事態ではないのかということをお聞きしたいと思います。

[432]
政府委員(外務省条約局長) 大森誠一
ただいま先生御指摘の1974年に国連総会で採択されました「侵略の定義」につきましては、その前文中でも明らかにしておりますように、これは国連憲章第39条に規定しております侵略行為に関して安保理事会がその存在を決定するに際し用いるガイドラインとして作成されたものでございます。したがいまして、ある国のある行為が侵略であるか否かがその定義によって直ちに決定されるといった性質のものではございません。

韓国による竹島の占拠は戦後間もなく行われまして、自来両国間の紛争となってきたものでございますが、日韓間の紛争につきましては、この後国交正常化の際1965年に結ばれました紛争解決に関する交換公文によりまして平和的に解決することとされているものでありますから、私どもといたしましては今後ともこの交換公文にのっとって竹島問題の解決を図っていくことが筋であると考えております。

このような点からすれば、韓国の竹島占拠が侵略を構成するか否かを軽々に認定することは適当ではなく、また問題の解決に資するものではないと考えているものでございます。

なお、私どもといたしましては竹島はわが国固有の領土であるとの立場をとっておりまして、したがいまして、竹島に駐留している韓国の監視隊は同島を不法に占拠しているという認識でございます。

[433]
日本共産党 市川正一
条約局長は前からそういうふうにおっしゃっているんですが、要するにこのガイドラインなるものに照らし合わせてどの一つ一つをとっても竹島の事態というものは合致するということを私は言っているだけで、別に国連に提訴せよとか云々のようなことをいま直ちに言っているわけじゃないんですから、まあ安心してください。